不思議だ

 書く気はなかったのに、何かプロットが出来上がってしまった。
 とりあえず晒してみる。
 ちょい長いかも。
 というかワードで書いてる為、最初のスペースが全部消えた。

生きるとはなんだろう?
死ぬとはなんだろう?
生きることがプラスなら、死はマイナスなのだろうか?
それなら果たして、人間に生きる価値があるのだろうか?
あんなにも意地汚く、自分のことしか考えない愚かな生き物。
ゴミを捨てて環境を汚し、戦争を引き起こして同属をも殺す。
他の生物はおろか、自身の住まう世界すらも汚しつくし、傷を付けて広げていく。
自身のことばかり考えるせいで、自身の首すら絞める下らない生き物。
――俺は人間が嫌いだ。
その汚い生き様がどうしようもなく、嫌いだった。
その精神性に否応なく吐き気を催す。
そのあり方が生理的に受け入れられない。
何故そこまで生に執着するのか。
何故そこまで我に執着するのか。
俺には解らない。
解りたくもない。
あんな穢れた生き物のことなど、解りたくもない。
だけどそれなら――――

――俺はどうして生きているのだろう?

生きていない理由も、何もないくせに。
どうして死ぬという選択を選べないのだろうか――――



Act.1 Where is here?

放課後に一人で北校舎三階の廊下を歩くのは止めた方が良いらしい。
そこには一つの“怪談”があるからだ。
怪談の内容はこういったものである。
昔二人の仲の良い少女がいた。
彼女たち二人はとても仲が良く、二人でお揃いの物を揃えることも多かった。
そんな趣味の似通った二人だったせいで、その悲劇は起きたという。
二人とも同じ男を好きになってしまったのだ。
そして言い合いになった二人は、片方をその窓から付と落としてしまった。
それ以降夕方から夜にかけての時間、その廊下を一人で歩いていると少女の鳴き声が聞こえてくるという。
その声が聞こえたら振り返ってはいけない。
振り返れば死んでしまった少女に見つかってしまい、彼女を突き落とした女と間違えられてしまうから。
そして向こうの世界に連れて行かれて、彼女の変わりに殺されてしまうから。
だから放課後に一人で北校舎三階の廊下を歩くのは止めるべきだ。

そんな噂話を思い出しながら遥は無限に続く夜(赤い下弦の月。笑みに見える)の廊下を逃げ惑う。
彼を追いかけるのは少女の姿をした何か。
それが机を、椅子を窓ガラスの破片を飛ばして遥を追い詰める。遥はとっさの所で窓ガラスをぶち破って、外に続かない教室に逃げ込む。そこに少女が弾幕をぶち込んでくるが、郡全にも遥は命を拾い、とっさに拾った机の足で少女に切りかかろうとして放られた机を受けてロッカーにぶつかる。
意識が明滅して、死を覚悟する遥。
死んでもいいか、と思った矢先に光弾が遥を守るように突き刺さり、恋が登場。
少女の攻撃を全て凍てつかせて止め、少女の特攻を避けて少女の胴を打ち抜く。
唖然とする遥の前で、しかし少女は死んでおらず既に後ろを向いている恋めがけて髪の鞭を放つ。
しかし見えないシールドによって防御した恋は振り返りざまに少女の頭を撃ち抜き、通常の空間北校舎三階の廊下に戻る。
恋に安否を気遣われたところで、遥は緊張の糸が解けて気絶する。



Act.2 What are yours?

震災時の夢。
大きな揺れの後に様々な人々の悲鳴、凶相、それらから必死に逃げ出す自分。

悪夢にうなされて起床。
浅海雄吾に医務室であると教えられ、事情説明。
遥のあった存在がエクステンデッドと呼ばれる危険な存在である事、そして自分たちはそれらのエクステンデッド、そしてそれらの引き起こす事件を管理する政府機関であると教えられる。
途方もない話に唖然とする遥。
次いでまだ痛む体に遥は眠りにつく(雄吾の出したお茶に睡眠薬が入っている)。
張るかが熟睡したところで侵入者警報が鳴り響く。

侵入者であるケインとクレアが奪取したバハムートを片手にアクセスの基地を駆け抜ける。
内通者に脱出の手引きをしてもらうため、彼の元に向かおうとして、その前に恋が立ちはだかる。

三日後、ようやく怪我が治って遥が学校に復帰したのと同時に恋が転校してきて、遥は驚く。



Act.3 Why do you lie?

恋が学校に来て二日目。
放課後返ろうとする遥の元に級友春人が皆で遊びにいかないか、と誘ってくる。
遥は断ろうとするが、すでに恋に張るかが来ると伝えてしまった、といわれて仕方なく付き合うことに(恋→遥に興味ある?)。
家族への断りの電話(やけに丁寧)。
適当にパンなどをかい出しに行ってカラオケボックスへ。
そこでの恋は以前の戦闘の時のような殺伐とした様子はなく、年頃の少女のようで、パンを渡した遥は、礼を言われて少しどきりとする。

恋の家の門限が九時までと言うことで八時頃に解散。家も近いことがあって遥が恋を送ることに。
道中、一人で帰ろうとする恋を遥は慌てて追いかける。
危ないだろう、と主張する遥に対して、恋はバハムート(銃型)を携帯しているから問題ないと告げられる。
バハムートの説明。
説明を終えて、それにしても上手く猫を被っているな、と遥が言うと貴方ほどではない、と返される。
「周りを騙して、自分を騙して……だれよりも世界を憎んでる事を隠してる。貴方のそういう所、虫唾が走るわ」
怜悧な瞳で吐き捨てられて遥は固まってしまう。
だがそれは適当な事を言われたからではなく、本当の事だから。
一人で去っていく恋を、今度は追いかけることができなかった。


Act.4 What’s is this?

更に四日が経過して、恋は悩みあぐねる。
バハムートがアクセスから奪取されて一週間。物の場所はおろか犯人の居所すらつかめていない(逃げられた)。
そのため、事件に関係がありそうな遥の周りを恋が張り続けることに。
遥について集まった情報を再構成。
そのせいか人付き合いは苦手であり、友人と呼べる人間は少ない。
養子で本当の家族は3年前に起きた震災によって死んでいる(世界を憎む原因)。
だが基本的に優しく接するため、人受けは良い。
そんな彼の態度に恋はどこか違和感を感じる。
クラスメイトに遥の事が気になるのかと問われ、恋は首を振る。
「多分、私は彼のことが嫌いなのよ」

帰り道にはるかは見たことのない男ケインに出会う。
付いて来て欲しいという彼の頼みを断ると、実力行使で遥を連れ去ろうとする。
逃げ出す遥。
人目のない、建設途中で放棄されたビルに逃げ込む。
途端、以前恋に助けられた時のような感覚に襲われ、空に青い月が2つも並んでいる事に気づく(異界侵入)。
そこで今度こそ遥は追い詰められる。
そこに再び恋登場。
セミ・バハムートを取り出して迎撃に入るケイン。
爆散する炎に苦戦するも全周に氷のシールドを展開する事で攻撃を防御。一気に近接戦闘に持ち込んでケインを追い詰める。
そこでケインから情報収集。
アクセスが原因で引き起こした三年前の震災(遥動揺)。
それのせいで家族を失い、復讐を誓った事。
そしてあの日追い詰められたケインたちが、バハムートを奪い返されないよう遥の中に隠した事。
恋は更にアクセスからどうやって逃げ出したのか問いただそうとして、クレア(先の戦闘でダメージを負っていたため控えていた)の放った黒い弾が恋の身を襲う。
一気にピンチに陥いりながら、それでも遥を守ろうとする恋。
そんな彼女の姿に――そんな彼女を倒そうとするケインたちに遥のトラウマ(震災時に家族が自分を助け出して、変わりに死んだ)が思い出されて、切れる。
バハムート開放。
虚を突かれた攻撃にケインたちはとっさに防御するが、遥の攻撃によって防御そのものが破壊される。
そんな彼等を殺そうとする遥を呼び止めて恋が攻撃し、二人を止める。
命が助かった事に安心して、助かった事に遥は礼を言おうとして、しかし恋に睨みつけられる。


Act.5 Why do you live?

拘留所にて今日の尋問を終えたケインたちの元に一人の男が現れる(体力の回復を待ってから自白剤で吐かせる予定)。
内通者であるその男に、二人は助けを求めようとするが――――

バハムートを取り込んでいたことが判明して再びアクセスに連れて行かれる遥。
精密検査を受け、そのデータが出るまでの間休んでいると、再び勇吾登場。
皆が奇異の目で見てくる中、彼だけが優しく接してくれて遥は安心する。
そしてそんな彼から遥の体内にあるバハムートが主に破壊を目的とするものであり、そういった精神性、能力を持った者にしか使えない、特別危険なものであると教えられる。
そしてこのままではアクセスの兵器として使われ続けることになる、と家族を殺した組織の人形にされてしまう。拒めば殺されるか実験材料にでもされるだろうと教えられる。
ならどうすれば良いのか、と訪ねる遥に勇吾は答える。
自分と一緒にアクセスを出よう、と。
そして家族の敵であるアクセスを潰すのだ、と。
その言葉に遥の心が傾こうとした瞬間に、恋が登場。
問答無用で勇吾を撃とうとする。
理由を問うと、彼が今回の件の首謀者であると告げられる。
誰がケインたちを手引きしたのか、何故医務室で眠っていたはずの遥にバハムートを入れることができたのか。
ビルを異空間化した装置は何処から調達したのか。
そしてどうして遥をそそのかそうとしたのか。
そして留置所にいたはずのケインたちが、勇吾が会った後に死んでいる事。
全部勇吾が主犯格であると考えればつじつまが合うと言われる。
それまで慌てていた勇吾は、その演技を止めると笑い出し、同時に世界が切り替わる。
荒廃とした、文字通り焼ける大地に遥は戸惑う。
「エクステンデッド……!」
恋が吐き捨てて勇吾に襲い掛かる。
だが勇吾は周りの炎を操り、それを迎撃。
恋も氷を出して対抗するが、圧倒的な物量に押されてしまう。
加えて勇吾はケインたちから奪取したセミ・バハムートを使い貫通と高重力弾を用いて恋を追い詰める。
反射的に遥はやめてくれ、と叫ぶが、勇吾は止まらない。
「これは君の――そして私の家族の仇の一人だ。止まる事などできん」
そう言われて、遥は何も言えなくなってしまう。
そこで勇吾は考えを改めて、遥に恋を殺させようとする。
「君も家族を奪われたことが許せないのだろう? 憎いのだろう? 復讐したいのだろう? なら覚悟を決めたまえ。彼女を殺す覚悟を」
言われてはるかの頭の中で様々な記憶が甦る。
家族の記憶、家族を失った記憶。
恋に助けられた記憶、勇吾に優しくしてもらった記憶。
遥は上段にバハムートを構え、
「君の家族を思う気持ちが本物なら、その女を殺すのだ……!」
勇吾に向かって振り下ろした(セミバハムート破壊。浅い傷を負う)。
何のつもりだ、と問う勇吾に遥は答える。
「家族の仇討ち? なんです? それ。 そんなことして喜ぶのは江戸時代の奴等で終わってるんだよ」
「何?」
「そんな下らない事をさせるために、父さんたちは俺を助けたとでも? ハッ、うちの家族をアンタみたいな狭量野郎と一緒にするなっての」
バハムートを構えて遥は睨む。
「俺の家族は命を守るために命張ったんだ、だけどアンタは違う。命を捨てるために命張ってる――それはうちの家族に対する冒涜だ、つまり」
遥、地を蹴る。
「アンタに組する、理由はねぇ! くだらねぇ戯言と一緒に叩き切ってやらぁ!」
自分の役に立たぬなら焼き払う、と勇吾も張るかを敵と認める。
遥VS勇吾。
遥苦戦。
追い詰められるが、間一髪のところで恋の援護が入る。
「さっきの貴方の意見には賛同させてもらうわ」
それによってできた隙を突いて遥の斬撃が勇吾を捕え、勇吾を倒す――――



Epilogue

家族と朝の団欒。
いつもと違う遥の雰囲気に何か良いことでもあったのか、と尋ねる。
まぁね、と答えて遥は食事を終える。

登校風景。
恋と出会い、彼女から遥が正式にアクセスのエクステンド能力者に登録された事を知らされる。
説明を終えてもじっと遥を見ている恋に遥はどぎまぎする。
そんな彼に恋が問う。
「……まだ世界が憎い?」
「ああ、憎いね」
遥は少し考えてから相答える。
「自分のために他の奴等の命を犠牲にしようとしてる奴等がごまんといるんだ。憎くないわけがないだろ。だから――――」
拳を手の平に打ちつける。
「俺がそういう奴等をぶちのめす」
いって笑みを浮かべるはるかに、恋は驚いた顔をした後、小さく笑う。
「何かおかしなこと言ったか?」
「いえ、ただ。貴方の笑った顔、始めてみたから。そっちの方が貴方には似合ってるわ」
薄い笑み付きで言われて、思わず赤面してしまう遥。
そうこうしていると学校の予鈴が鳴り響く。
「ほら、急ぐわよ」
言って駆け出す恋を、遥は慌てて追いかけるために走り出す。

気に入らない事はごまんとある。
だが、気に入らないとふてくされていても仕方がないのだ。
なにもできやしない、と世を拗ねて縮こまっていても、何も出来ないのが当たり前だ。
だから変えよう。
何が変えられるのかなんて解らない。
本当に変えられるのかも解らない。
だが人生はまだまだ長いのだ。
だったらやりたいことをやろうじゃないか。
それが自分の生きる意義であり、自分のために死んでいった彼等への、せめてもの弔いとなるのだから――――