ついでだから、ちょっと考えてみる。

小説において、主人公に愚かな行動をさせるな、というのは、多分、小説を読むような人間はクラス40人の中の5人だけで、その5人は、自分は愚かではない、と考えているような人たちだから、という理由が大きいのではないだろうか。
残りの35人が読むようなケータイ小説は、愚かな主人公が男に騙されたりして、それが共感を呼んだりするのだが、5人からは馬鹿にされる印象。
では、35人を相手にしなければならない漫画はどうなっているのかと考えると、『ドラえもん』は、主人公が巧く馬鹿。
のび太ドラえもんの道具の馬鹿な使い方をする→しっぺ返しを喰らう、という基本構図なので、主人公は馬鹿で良い。35人はのび太の行動に共感できるし、一話完結でしっぺ返しを喰らうのだから5人もこれで笑える。でも、小説の参考にはならないか。
ONE PIECE』なんかは、ルフィは愛すべき馬鹿、という設定になっていて、40人が楽しめる。ジャンプの成功作はこういうのが多そう。でも、これは漫画だからであって、ルフィの心理面を描いたら、共感できるかどうかは疑わしい。小説なら、ナミの視点から、ルフィの行動面だけを描く、という形にでもするのだろうか。
「野郎ども宴会だあ」、というのは、漫画なら面白いけど、小説で面白くできるだろうか。相当難しい気がする。理屈をこねちゃうと愛すべき馬鹿にならない。
BLEACH』は、多分35人向け。だから、残りの5人からは笑われるんじゃないかな。主人公は必ずしも馬鹿ではないが、設定が。禁書目録がそんな感じ。
小説の場合、ちゃんと5人向けに読める設定にしないと、言葉で、35人にも読んでもらえるものを、というのは簡単だけど、実際には振り向いてももらえないのではないかと思う。
NARUTO』が、その辺のバランスは巧いのかもしれない。主人公は馬鹿設定だけど愚かではない感じ。でも、小説にしてナルトの内面を描かざるをえなくなったら、どうなんだろう。
鋼殻のレギオス』の登場人物が、これに近い感じでちょっと馬鹿。5人向けにはぎりぎりのラインだけど、35人にも少し受け入れられるので、ヒットしているのだろうか。
ベイビーステップ』は5人向け、『弱虫ペダル』も5人向けだと思うけど、ベイビーステップは人気がなさそうなのに、弱虫ペダルは人気がありそうなのは、何故なんだろう。マガジンとチャンピオンの違いか。
チャンピオンだった『ブラックジャック』は、明確に5人向け。手塚治虫は全般的に5人向けが多そう。それでもきっちり35人に読んでもらえるのが凄いのか、実際には35人からは人気ないのだろうか。