次回予告風あらすじ

 あれですねぇ。大体物語のアイデアって映画のCMみたいにパッパッパッとハイライトシーンがバシバシバシッと連続で浮かび上がったり並んだりして一つの物語を構成するというか、なんかそんな感じに脳裏に浮かぶんですね。
 そして、劇場版の予告て美味しいところが凝縮されているので予告編だけ見れば面白いけど――ということも多々あるのが悲しいところ。
 でもまぁ、とりあえず、今こんなもの書いてます――ということをここでばっちりと見せて退路を断とう。
 正直、もう100日切りそうなのに一人称が邪魔して全然進まないので自分を追い込むしかない。
 頑張れ哲学さん。超頑張れ!


 と言う訳で下に劇場版予告っぽいものを置いておきますね。

 あ、先に序章を読んでること前提で書いてます。



「女一人旅とは……なかなか呑気なものだな」
 かけられた声に彼女は首を傾げる。
「……? どういうこと?」
「ああ、俺の姿は君以外には見えてないから」
「なんですって!?」



 "気配なき求道者"弥山然と"天狗剣の使い手"泉野いのり。
 山を下りた二人が向かった先は――。



「ようこそ……独立国家『エスカ』へ」



 日本に出来た七つの都市国家が一つ『エスカ』だった。



「いいじゃないか。過疎の村で老人しかいないところを、食い詰めた外国人が"村興し"してくれたわけだし」
「"村興し"じゃなくて"国興し"よ! 武器を持ったテロリストが勝手に独立国家宣言してるだけじゃない!」
「もうここはアメリカも国連も認める立派な国さ。俺たち個人に出来ることはない。第一、少子化で今の日本列島スカスカだしね」
「でも……認められないわ」



 そんな彼女らが見た独立国家『エスカ』。その実態は――。



「炎を操る――超能力者!?」
「その通り。この国は迫害されし異能力者達の楽園。
 ここでは自らの誇りをかけた決闘が認められている!」



 異能力者達のひしめくエスカで繰り広げられる戦いの数々。



「"キング"に勝てば――この国の指導者になれる。
 まさに、強さこそ正義だ」
「面白いわ。だったら――私がそいつをぶち倒してこの国を壊してあげる!」



 そして決意する少女。



「馬鹿な――木刀で炎を斬っただとっ!」
「鬼が授け、天狗が鍛え、人が伝えし、この剣。止められるものはない!」



 しかし、向かい来る敵はあまりにも強大で――。
 彼女の力は及ばず――。



「おっと……実はもう一人ここに強者が居るんだな」
「……貴様! どこから現れた!」
「教えてあげるよ、次元の違いってヤツを」



 圧倒的な強さを見せつける少年。



「貴様――そうか。人を超えし、地平への到達者――"仙人"だな!」
「いかにも。
 次元が違うんだよ、次元が」



 "仙人"弥山然と泉野いのりの存在はエスカに動乱を招く。



「仙人様ー! 見えないけど、どっかにいるんだろ! 力を貸してくれー!」
「悪いね。力ある者は決して他者のために力を使ってはいけない。師匠の教えでね」



「分かっただろう。力とは自らを高めるためにある。誰かの為にあるんじゃない」
「困っている人がいる。それを助ける。そうでなくてなんの為の力よ!」
「さあてね。だけど、師匠は言ってたよ。自我なんて嘘だってね」




「あんたらに何が分かる。彼らが来てこの街は再び活気づいた」
「俺たちはぐれ者にはこの街以外に行き場所などない」




 混乱の中――更なる悪意がエスカを襲う。



「弥山っ!!」
「……殴られたのはひさしぶりか? 小僧」
 倒れた弥山は緩やかに起き上がる。
「――まさかご同類に会うとはね」



 現れたるはもう一人の仙人。




「やつは邪仙さ。私利私欲に力を使っている」
「あんたと何が違うのよ?」
「次元が違うね」
「はぐらかさないで!」



 二人の激突はエスカに崩壊の危機をもたらす。



「成る程――その若さでそこまで極めていたか。天稟があるようだ」
「次元が違うんだよ、次元が」
「ならば、これはどうかな?」
「しまった!」



 邪仙の攻撃は泉野いのりを捉え――。



「何故、私の為に力を使った!」
「――黙ってろ。俺が好きでやったことさ」
「愚かな。他者のために力を使えば、そうなることは分かっていただろうに。
 これでもう、アレを止める者はだれもいなくなった。間もなくこの地は崩壊する」
「かはっ……うるさい。だが――見えた。無我への道筋が」
「なにを……言ってるの? こんな時に?」
「お別れだよ、いのりちゃん」
「待って! まだ私はあんたに触ることすら出来てない! あんたを殺すのは私って言ったでしょ!」
「……そんな顔をするなよ。お前の剣は世界を救うんだろ」
「でも……」
「お前なら出来るさ。だから、さよならだ」



 そして――彼は無我の境地へと達し、敵を打ち砕き、消えた。



「なんたることか。本当にやりおった。
 だが、これでヤツはいなくなった!
 『根源』へと到達し、我らが凡愚には認識出来ぬ別次元へと旅立った!
 この場に力の足りぬ小娘がただ一人。
 威力は落ちるがもう一度我が術を――」
「無理よ」
「なんだと?」
「――彼が私に教えてくれた。私の剣の意味を。
 私は何も分かっていなかった。
 ここに来て私はようやく気付くことが出来た。
 私はなんて馬鹿なんだろう。
 でもね。それでも――あんた一人を止めることぐらい訳ないわ」
「何を言ってるんだ小娘」
「教えてあげるわ。次元の違いってものを!」




 それは一人の心優しい仙人と、意地っ張りな女剣士の物語。
 独立国家エスカで果たして彼らが作る結末とは何か。無我の境地とは。彼女の剣の意味とは?
 一人称ががっつり苦手な哲学さんがこの夏の富士見ファンタジア大賞めざして描く超絶ぎこちない一人称ファンタジー! "救世の品格"。
 期待せず待て!!





 そんなあらすじをばらして大丈夫なのか、と言われるかもしれませんが……でもまぁ、ホントに面白いものってのはあらすじが全部分かってても全然面白いものです。
 よーし予告編は面白そうだったのになぁ……とか言われないように頑張ろう。

 ……ああ、予告編もつまらないと言うのは仕方ない。哲学さんの実力が足りてない証拠。ともかく頑張ります。

追記:一行だけ文章修正。