哲学さんの話を読んだので

感想を(おっせえ)


読み終えて真っ先に浮かんだ言葉は「楽しいが失敗している」
これはmana-7seaさんも似たようなことを言っておられるとおりというか、個々のエピソードはいいけど時間がなくて統合しきれていないというか、まあそのあたりは書いた人が一番よく分かってると思うのでさっと流して。思いつくままダラダラと書きます。

冒頭

主題がみっつあるのでどれかひとつに絞ったほうがいいでしょう。主人公(あるじ)の開示と、占い師の人との遭遇と、あかねとの遭遇と。これらが並列に並べられているので印象が非常に弱められている。こういう巻き込まれ型の話をはじめるなら主人公の属性をごっそり削り落として(つまり通常の平凡な少年役として)再構成するのが一番だと思います。あるじのキャラクターは非常によくできているんですが、そのせいで話全体の主題がまとまりを欠いています。各キャラクターの設定も過剰です。それぞれのキャラクターを「立てる」ことには成功していますが、それぞれが主題を獲得してしまうので枚数制限のある投稿作にはあまり向きません。

余談ですが、各個のキャラクターを立てることに注力しすぎて失敗したものといえばFateが有名ですね。あれもシナリオだけみれば完全な失敗作です。(捨てるものをきちんと捨てた虚淵のZeroと構成を比較すればその差は歴然)それでもそれなりに評価されたのは、きのこの執念というか気合が少し常軌を逸しているからです。あまり常人にはお勧めできません。

主人公

あるじというキャラクターはこの小説のなかで一番可能性があります。全体として点数をつけるなら自分なら70点くらいつけますが、そのうち60はあるじの分です。今後とも大切に扱ったほうがいいでしょう。

ただしあるじのプレゼンテーションには失敗しています。こういうキャラクターは巻き込まれ型には向きません。もっと能動的に書き改めれば、話全体のラインが明朗に現れてくると思います。

先ほどの冒頭のシーンを書くなら、隕石とか爆弾とかが落っこちてくる中、なぜか道に迷ったおばあさんを助けて血みどろになるあるじとかを描写し、そしてその「外側」にあかねたちを配置すれば話の主体がさらに明確になります。

あと、あるじに限らず男キャラの描写が女キャラと比較して弱いです。もう少し書き加えてやってもいいと思います。

あと、説明で済ませてしまって描写になってない部分が散見されます。その件に関しては、あとで書き足すかもしれません(この感想をだらだら書いていたら夜が明けてしまったので)