ふと思いついたので
なんかの冒頭
「あと一週間で世界が滅ぶんです」
そう目の前の少女は言った。
いたって真剣な表情。
どう見ても本気の表情。
だから彼女の言う事に嘘はないのだろうと俺は思った。
だけどそんな話をどうして信じられるというのか?
そんな話を信じる奴は、馬鹿か頭の行かれている連中だけだろう。
仮に、一万歩譲って、彼女の言った事が本当だとしよう。
それは確かに困らないでもない。
世界が滅びれば明日がないわけなのだ。
そうなれば夢をかなえるとか、恋人を作るとか、老後に縁側でお茶をすするなどと言う楽しみもなくなってしまうわけで、将来に大きな希望を持つ若者である俺からしてみれば非常に嫌な話である。
だけど、
「なので世界を救うために貴方の力を貸してください!」
なんて、一介の高校生でしかない自分に言われても、困るだけなんですよ。
本気でそう思った四月の夜だった。